「アルコール依存症の詩」が製作元である“かんぽう”の手をはなれた。
すると残部の在庫200冊ぐらいだと思うが、個人で捌かなければならなくなる。当初は、発売元が“かんぽう”であるため、僕も手伝いたくとも手伝うことができなかった。それが、“かんぽう”が完全に手を引いたというわけだから、それなら、僕も販売のお手伝いをしましょうということになった次第だ。書店での展開は問題があるが、ネット販売するのなら問題はない筈だ。
僕自身、この“本”の製作にはかなり思い入れがある。
この“本”の話があったのは、先にも述べたようにかんぽう(政府刊行物大阪サービスステーション)在籍中のことだ。後藤光代さんが、ご主人とのことを「アルコール依存症の詩」というタイトルで個人出版したいという。
最初は某出版会社で自費出版を考えておられたようだが、制作費がやたら高いのを知っていたので、考えなおすよう勧めたことがある。結局、田池先生の勧めもあって僕がお手伝いすることになった。だが、個人出版というには、あまりに大がかりになった。まず原稿の手直しからはじめ、それをある方に校閲してもらい、できた初稿を、UTA会の中村康一さんに校正してもらうという手の入れよう。それをまた著者である後藤光代さんに返し、後藤さんの娘さんまで動員してのテコ入れ作業。おかげで普通の個人出版の何倍もの時間と労力をかけて、2008年10月、やっとこの本ができあがった。
打ち合わせに後藤さんの住む愛知県にも行った。昼にはうまいイタリアンの店があるというので、後藤さんと娘さんの三人で、パスタやピッツアを食べながら、本のことを話し合った。
表紙は仁井谷伴子さんというブックデザイナーが担当したが、使われる絵は、また別のイラストレーターが担当するという念の入れようだ。それも当初は、表紙に描かれた徳利は、倒れずにまっすぐ立っている図柄だった。それを後藤さんが、ご主人の状況等を考えると、倒れて徳利の先からお酒がこぼれている、そんな感じが自然だと、やり直しになった。
こうして出来上がった一冊だから、後藤さんも娘さんもそうだろうが、僕もかなり思い入れがある。
それが今、“かんぽう”の手からはなれ、やっと僕のところへ帰ってきた。
聞けば、中日新聞にも取材され、紹介記事も掲載されたという(右写真)。たしかに「心の学び」をしている人には、少しやさしすぎるかもしれないが、心をみるということなど何も知らず、酒癖の悪いご主人に悩んだり、家族の誰かが薬物依存で苦しんでいたり……そんな人たちにとっては、心の世界への橋渡しとなる「一冊」となるのではないだろうか。
ながながと話したが、今までは「この本のお求めはかんぽうへ」となっていたのを、これからは、「直接、ホームページから申し込めるようになった」という次第。興味のある方は、ぜひ、ご利用いただきたい。ホームページは、下記の通りであります。
http://uta-book.com/personal/personal.htm